お好み焼き放浪記 Nagata Okonomi-yaki Wanderer's

第四回 「ゆき」のぼったこ&ぼっかけカレー&ピザ焼

「ぼっかけ」発祥の商店街として名高い西神戸センター街。独創的なイベントで周囲の度肝を抜いている。そんな風情あふれる一角に雑誌やテレビで紹介されまくりの「お好み焼ゆき」がある。大きな「そばめし提灯」が目印である。

こぶし効きまくりのド演歌がBGMの店内は、お客様がひっきりなし。円広志よりもすごい回転で回っている。回るついでにタコ焼もくるくる。

だし汁、ネギを従えて、お椀に盛られたタコ焼が登場。明石焼風である。だし汁をすすり、パクっと一口。タコの食感と、もう一つの食感が・・・。ぼっかけである。その名も『ぼったこ』。絶妙のネーミングセンスに負けず劣らず、だし汁が染みて実にイケル。明石焼の楽しみは、残り2つほどになった時点で、ソースをかけることである。行儀悪いが何ともやめられない。タコ焼がモロモロと崩れ、ソースが染み出しただし汁を味わうのは醍醐味である。15ヶで450円は実にお得。キンキンに凍らしたジョッキでノドに流し込む生ビールとの相性はスバラシイ。

おそらく世界で唯一、長田名物の2大巨頭『そばめし』と『ぼっかけカレー』が食べられるお好み焼屋ではないだろうか。お好み焼店ならではの『ぼっかけカレー』の食べ方は、激辛どろソースをかけることだ。ぼっかけ(すじコン)がお好み焼にピッタリなんだから、相性の良さもうなずける。カレーにウスターソースをドボドボかけるのは、長田紳士のたしなみである。ぼっかけの甘味、どろソースの辛味、カレーの香味がキングギドラのように火を吹きまくっている。ビールが進んで仕方がない。

定番のスジ焼はコンニャクを使わない内角高めの直球勝負。珍しいキモ焼、ズリ焼の変化球に翻弄された後、とどめのフォークボール『ピザ焼』で三振である。お好み焼をピザ生地に見立て、とろけるチーズがタップシ。アクセントのベーコンも心憎い演出だ。ピザソースでしっかり味付けされているため、ソースは必要なし。好みでタバスコを。ボリューム感あふれ過ぎる逸品なので、最初に頼んじゃうと後が食べれんようになりまっせ。

ソバとご飯をしっかり焼きこみ、パラっと仕上げた『そばめし』を堪能し、勘定を済ますと驚くほどリーズナブル。昭和55年創業だが、力強く15年以上も価格据え置き。目立たないところにこだわり、一手間かける職人仕事が随所に光っている。土日になると、東は大阪、西は姫路からも若者が押し寄せる人気店は、タクシーの運転手さんもよく訪れる。昔から言うじゃありませんか、トラックとタクシーのドライバーが立ち寄る店にハズレなしって。

お好み焼ゆきのお店情報

※2009年までの情報になります。現在の営業状況につきましては各店舗へお問い合わせください。

吉野屋顔負けの「美味しく、安く、早く(店主談)」をモットーに、鳳恵介夫妻顔負けの池端さんご夫婦による絶妙のコンビネーションは、絶妙の味のスパイス。お客さんとの掛け合いも楽しい「お好み焼ゆき」は、西神戸センター街4丁目、営業時間11:30〜21:00、毎週水曜定休日、電話番号は631−5117です。