お好み焼き放浪記 Nagata Okonomi-yaki Wanderer's
第十五回 「ともる」(神楽町6丁目)
駅北地区が明るく「ともる」
新長田駅北側、郵便局やシューズプラザに近い一画に明るく‘灯っている’お店がある。下町の人情が滲み出たステキなご夫婦の笑顔が、心に明かりを灯す「お好み焼 ともる」は、いつも大勢の常連客で賑わっている。初めてのお客さん(イチゲンサン)にも、この上なくナイスなフォローをして下さるので、初心者も安心に長田お好みを堪能することができる。
生ビールで一息つくと、まずは頼みたいのが目玉焼。過去の放浪記でも、鉄板焼きで食する目玉焼の壮絶な旨さについて、刷毛で塗れないほど濃厚などろソースのごとく力説してきた。しかし、メニューとして掲載している店は意外と少なく、実は常連に許される裏メニューなのである。ところが、堂々とメニューに載っているではないか。しかも「ベーコンエッグ」と。登場したのは、スクランブル系でなく目玉焼系。それも3つ玉。唇の端がニヤリと上がる。
神戸ながたTMO賞を凌ぐValue
カリカリに焼いたベーコンが、チリチリと目玉焼きの白身部分にノックする。ベーコン脂の濃厚な旨みとコク、しょっぱさとコショウ風味のピリ辛が、上品かつ淡泊な目玉焼の包容力に包まれる。ドロリとして黄身の半熟が、ベーコンや白身に絡みつく・・・。通常の目玉焼が神戸ながたTMO賞なら、ベーコンエッグは長田区長賞ぐらいの違いがある。1つめは白身、ベーコン、黄身をそれぞれ別々に味わう。2つ目は黄身を崩し、絡めながら陶酔する。3つ目はソースをタラリと垂らし、ジャンクに頬張る。幸せが3度訪れた。
いろいろ目移りするが、鉄板系シフトを継続。焼肉屋ホルモン、焼きとり焼きとんでお馴染みの「ハツ焼」。店によってはハート、心臓と呼ばれている。これが、ステーキ肉のような大きさ、厚切りでスポットライトを浴びながら登場する千両役者ぶりを発揮するのだから、思わずおひねりを投げたくなる。豪快にかじる。ポクポクした旨み、レバーよりも上品な野性味、噛み心地の良さ。申し分ない逸品だ。
話題の新メニュー。
ラストは話題の新メニュー。今、日本中の商店街で話題を独占している、といってもまあ許してもらえるような気がする、といっても過言ではないと思われる、新長田に降臨した鉄人28号等身大モニュメント。その完成を記念し「鉄人目玉ソバメシ」が完成。アスタくにづか4番館を上から見たような(分かりにくくて申し訳ない)舟型のデザインに、温泉卵がどろりと乗っていて迫力満点。2人前(両目)並べてみると、圧倒的な存在感だ。ソバメシそのものを楽しみ。卵を突き崩して絡めて食べると、また違った味わいを楽しめ、飽きのこないシンプルかつ深い味。満腹です。
鉄板焼の醍醐味を堪能できる店内は、老若男女問わず満員だけど、居心地の良さとアットホームな雰囲気で常連気分が味わえてしまう「ともる」。鉄人を観た後は、鉄人目玉ソバメシを喰らおう!
[09.11.25掲載]
お好み焼ともるのお店情報
※2009年までの情報になります。現在の営業状況につきましては各店舗へお問い合わせください。
■兵庫県神戸市長田区神楽町6丁目
■営業時間 / 12:30〜13:30 / 17:00〜23:30
■定休日 / 無休
■TEL / 078-612-4416